畑の中で、

今日の道は、右を見ても畑、



左を見ても畑、



という状況だ。しかも、3連休の最後の日という事もあって、こういった場所には、全く人がいない。兎に角、走った、という一日だった。

それでも、最後に辿り着いた場所は、立派な街であった。



アメリカは、流石に広いだけあって、携帯が何処でも通じるわけではない。田舎に行くと、道の側や、建物の側でないと通じない事は多い。

今日の街は、そこそこ大きいので、通じると思っていたが、何処に行っても、通じない。携帯が故障したかと思ったが、地元の人に聞いたら、この街は、どの携帯も通じない、と言われた。不思議な事があるものだ。

明日には、バージニア州へ入る。そろそろ、ニューヨークが視野に入ってきた感じだ。ニューヨークを、折り返し地点と捉えているので、何となく浮かれてくる。

走行距離:168.80キロ 通算:8456キロ
宿泊地:アホスキー、ノースカロライナ州

隠れたカロライナ

今日は、昨日と打って変わって、晴天となる。

サーフシティーという海沿いの街を、訪れる。名前の通り、サーフィンのメッカの様な所だった。



多勢のサーファーが、集まる場所である。名前が先か、サーファーが集まるのが先か、知りたいところだ。

街全体は、決して派手ではなく、海が好きな人が集まる様な場所だ。ちょうど、九十九里の様な場所と言えるだろう。



この後、内陸へと入って行く。

今、アメリカは3連休である。行楽地へ出かける人で、何処も混み合っているが、田舎でほのぼのとした光景に出くわす。



何処にでもある様な川で、釣りやボートで楽しむ家族連れである。それが、とても絵になる光景で、流石、アメリカは豊か、と思わせる物だった。

ふと、プランテーションハウスに出くわす。これは、日本で言えば、有形指定文化財である。1804年の建物。



プランテーションハウスとは、南北戦争以前に、豪農が住んでいた家で、黒人奴隷が多く従事していた所でもある。ノースカロライナも、南軍に属していただけあって、この手の物は多く存在する。

ニューバーンという街に到着。



設立300年という行事の最中であった。アメリカは、どの街も、設立何年というのを謳っている。歴史が浅いから可能な事だが、300年といえば、十分な歴史である。歴史と風格は、いたる所から感じられる。



こういった街が、無尽蔵にあるのがアメリカで、ヨーロッパでいう歴史とは、価値観が若干違う。

特に、東海岸では、ヨーロッパを望郷した様な、何か切ない物を感じる。



この街は、ドイツ系とスイス系の移民によって、創られたそうだ。ヨーロッパ各国の、フロンティア精神と、母国に対する思いを、混合させた複雑な心境を、垣間見るようである。

走行距離:160.04キロ 通算:8287キロ
宿泊地:ニューバーン、ノースカロライナ州

激しい雨を避け

今朝は、雷と激しい雨が続き、出発をどうしようか躊躇していた。土曜日だし、ゆっくりしていようかと思ったが、ここは、何もない田舎街。考えた挙句、10時に雨が小降りになったのを機会に、出発する事にした。



雨が降ったり止んだり、時には土砂降りになったり。道路状況が良いのが幸いし、30キロ越で走り続ける事が出来た。

そして、程なくウィルミントンという街に到着。



戦艦ウィルミントンが飾ってある。中に入って、見学する事が出来る。パールハーバーで活躍したとか。



映画産業が盛んで「東のハリウッド」と呼ばれている。市内の撮影も多く、洒落た街並みが続く。



何処となく、ボストンに代表する様な、歴史ある東の街並みのイメージに、近くなって来た。

馬車で、市内観光が出来る。



それにしても、犬が多い所だ。

最近、中華バイキングへ良く行くようになった。やはり、中華は食べ易いし、野菜も多く食べられる。すると、決まって、寿司が一角に置いてある。普通は、食べられたものではないが、今日のレストランの寿司は、悪くなかった。



今日は、これ以上進まず、ウィルミントンでゆっくりする事にした。相変わらず、雨が降ったり止んだりだが、この街なら、散歩して見て回る事が出来る。朝、田舎を抜け出して正解だった。

走行距離:70.47キロ 通算:8127キロ
宿泊地:ウィルミントン、ノースカロライナ州

ここでも海水浴

サウスカロライナも、北の方に来たら、ビーチがある。気候も、かなり暑い。



しかも、この様なビーチがずっと続いている。フロリダほど派手ではないが、十分陽気だ。アメリカが13州しかなかった頃は、ここが海水浴場だった。もしくは、冬はサウスカロライナ、夏はボストン、という生活をしていた人もいたらしい。

海岸沿いには、こんな家が並んでいる。



場所によっては、高層のホテルやマンションが並んでいる。まさに、小さなマイアミ状態である。



何処もここも、お祭騒ぎで、多勢が繰り出している。

そして、早くもノースカロライナに到着。



一度途切れていた砂浜も、ノースカロライナに入って、また、姿を現した。但し、のんびりと落ち着いた雰囲気だ。



ここは、バードウォッチングが盛んな所。また、海亀も来る。

家も、ビーチの雰囲気ではなく、ひっそりと、それでいて豪華な感じとなっている。



走行距離:146.30キロ 通算:8057キロ
宿泊地:シャロット、ノースカロライナ州

今日は、チャールストン

今日も、田舎街からの出発。しばらくは、永遠に続く、木のトンネルを走る。



その途中で見つけた、1745年に、フランスによって建設された、教会の跡。後に、イギリスに焼かれる。1826年に、建て直され、再びイギリスに焼かれる、という歴史を持った建物。



今は、公園になっている。ここで座っていたら、リスが隣にやってきて食事を始めた。こっちには、気付いていないようだ。じっと見ていたら、目が合った。リスは、逃げようとするが、食事をどうするか迷ったようで、その場で3秒位あたふたと動き回る。結局は、食事をあきらめて逃げて行った。

街道沿いには、農産物の加工品を売っている店が並んでいる。



林檎、桃、ブルーベリーなどをジュースやジャムにした物を売っている。



砂糖など、一切添加物を使っていない。サッパリとして、アメリカとは思えない、繊細な味だ。

チャールストンという街に到着。昨日のサバンナと同様、奴隷貿易や農産物の輸出で、栄華を誇った街だ。今でも、貿易港として機能している。

昔のままの商店街が、今でもそのまま使われている。



住宅地の中に湖があり、その廻りの芝生で、本を読んだり、ヨガをしたり、自由気ままに楽しんでいる。



住宅から、昔の栄華が良く分かる。



貿易港以外にも、海岸は、リゾートとしての機能も持っている。



今までは、自転車マップに忠実に走ってきた。どちらかというと、自然派の道であった。これからは、若干自分なりに修正し、街を多く通るようにする。同時に、高速道路の使用を多くして、街から街へと、移動する様なコースにする。全体のスケジュールも、更に短くなりそうだ。

走行距離:214.93キロ 通算:7911キロ
宿泊地:ジョージタウン、サウスカロライナ州

サバンナ見学

ジョージア州で、見たかった街、サバンナに到着。ここは、古くは、奴隷貿易で栄え、その後は、農産物、特に綿花の輸出で栄えた、豊かな港であった。ヨーロッパ各地との貿易で、各国の特色を取り入れた様式、貿易の利益で、あらゆる物を取り込んだという、不思議な街だ。



確かに、シックで落ち着いた街並みである。古くからの歴史がうかがえる。



ヨーロッパの、何処かで見た、といった感じがする。一画だけ見ると、まさにヨーロッパそのものである。



市内は、観光バスが行き来して、街の説明をしながら、走り回っている。馬車に乗って、観光する事も出来る。



サバンナを一通り見て、隣の街へ行く。そこは、もうサウスカロライナ州。



ジョージア州は、あっという間に過ぎてしまった。だんだんと、湿度が下がってきた気がする。

走行距離:157.02キロ 通算:7696キロ
宿泊地:イェマセ、サウスカロライナ州

予定外の進路変更

出発すると、広場に野犬が沢山いる。成犬は、距離を置いて、近付いてこないが、子犬は怖いもの知らずで、普通に近寄ってくる。



今朝も、朝食は、ガソリンスタンド脇で簡単に済ます。ガソリンスタンドと言っても、手動の物が一台あるだけ、コンビニというより、万屋と言った方がふさわしい様な店だ。田舎に行くと、こんな感じである。



食事しながら、今日の道順を確かめるべく、地図を眺めていると、万屋のおばさんがやって来る。フロリダを出発して以来、「何処へ行くの?」と聞かれたら、分かり易いように、ニューヨークと答えるようにしている。



自転車マップというのがあって、と説明する。おばさんは、その地図を見ながら、「このルートは、あまり面白くないね。もっと、他の道順がいいよ。どうしても、キャンプしたいなら、仕方ないけどね。」キャンプには、全くこだわっていない。道順を聞くと、店からジョージア州の地図を持って来て、説明し出した。

どうやら、海沿いを通るらしい。眺めも良く、観光地、レストランも沢山ある。地図に、見所も書き込んで、丁寧に教えてくれた。「その地図は、持って行っていいよ。」この地図は、売り物なのだが、本当に良いのだろうか。「どうせ、売れないから。」何とも、気前が良い。

急遽、進路変更し、おばさんの言う通りに進む。

この辺りの海は、フロリダの様な砂浜ではなく、幾重にもなった自然の入江になっている。



それでも、山の中を走るより、こちらの方が良かった。

ジョージア州の名前の由来ともなっている、イギリスのジョージ2世国王にちなんだ街、フォートキングジョージ



小さな街だが、綺麗な落ち着いた所だ。

アメリカで一番小さな教会、というのを見つけた。



これが、その教会。日本の、お稲荷様の様なものだ。



ところで、おばさんの作った自転車マップは、意外と良かった。しかも、直線的に進むので、かなり遠くまで来た。おかげで、明日、早々にジョージア州とお別れする事になる。

走行距離:157.31キロ 通算:7539キロ
宿泊地:ミッドウェイ、ジョージア州

フロリダを去る

アメリカ最古の街、セントオーガスティンを、後にする。綺麗な街並みを、一枚。



海沿いを、北上。フロリダの海岸も、もうすぐ終わってしまう。思えば、最南端のマイアミから、ずっと豪華な道が続いていた。



イルカの郵便ポスト。この辺りは、クジラやイルカが泳いでいる。



自分の家と同じデザインの、郵便ポスト。



アトランティックビーチ。これで、本当に、最後のビーチとなってしまった。



海沿いのスタバで、砂浜を眺めながら、フロリダでの事を思い出す。



この後、内陸へ入っていく。フロリダの最北東に位置する、ジャクソンビルという街に到着。



工業中心の街だが、フロリダでは大きな街である。途中で出会った、若者3人組が、ジャクソンビルから来ている、と聞いていたので、今頃何しているのだろうかと、思い出す。それにしても、フロリダは長かった。

そして、さらに進み、ジョージア州に到着。



ジョージア州と言えば、アメリカ建国時の13州の一つ、また、「風と共に去りぬ」の舞台でもある。これから、数日間の付き合いとなる。

走行距離:153.80キロ 通算:7381キロ
宿泊地:フォークストン、ジョージア州