また、ピンチ

これからは、一路、西へ西へと、太平洋まで進む。

ミネアポリスが大きな都市と言えど、一歩郊外に出ると、すぐに農地となる。



ハンドルのバーエンドが壊れていたが、ミネアポリスで新しい物を入手し、取り付けてみた。



どうせだから、大きく張り出した物を試してみる。前傾姿勢を保つ事が出来、足に力が入りやすく、かなり良い。

暫らく、運転してみたが、問題ない。但し、表面がツルツルで、どうも握りにくいので、これを何とかする為に、次の街で、バイクショップに寄る。

ロードバイクのハンドルに巻く、フカフカなテープを巻いてみた。



これで、完璧。走りも良くなった。ついでに、タイヤの赤とコーディネートしてみた。今更ながら、本格的な自転車旅行の様な、雰囲気になった。

この後、今日は、ひたすらに走る。しまいには、農地から、何も無い、ただの野原になってしまう。



さて、ぼちぼちと終わりにしようかと思っている時に、事件が起こった。スポークが、折れてしまった。スポークなら、自分で直せるので、タイヤを外して作業していたら、問題を発見してしまった。フレームのリムが、割れている。



スポークが折れたのも、これが原因であろう。これは、交換するしか無い。このまま乗っていたら、すぐに他のスポークが折れるだろうし、動かない方が良さそうだ。

調べてみたら、一番近いバイクショップは、40キロ離れている。長距離バスは無い。そこで、交換出来るかどうかも、まだ分からない。今日は、遅くなってしまったので、何も出来る事は、無い。

明日へ、続く。

走行距離:165.82キロ 通算:12119キロ
宿泊地:リトルフォールズ、ミネソタ州

ミネソタの双子

今日は、ミシシッピ川沿いを、北上する。この所、毎日向い風だったが、珍しく無風なので、風が吹き始めないうちに、距離をのばしておく。

川沿いには、所々に、この様な展望所があるので、ちょっとくつろぐのに丁度良い。



そして、ミシシッピ川を渡り、ミネソタ州へ入る。



この辺りは、ミシシッピ川が広くなっており、湖のようである。



湖畔で、水着姿で日光浴する人が、大勢いる。

間もなく、ミネソタ州の州都、セントポールに到着。



州、第2位の都市である。古い建物が、綺麗に整って、人混みも見られる。



ウィスコンシン州で綺麗な街を見すぎたからか、何となく、雑然とした感じがあるが、これがアメリカでは普通かもしれない。

州都ビルは、立派である。



そして、ここからすぐ側に、ミネアポリスがある。こちらは、州、第1位の都市。



あまりに、近代的なデザインの建物ばかりで、人がいる感じがしない。



中心地の回りは、逆に、昔からの街のイメージで、温かい感じがする。



この2つの都市を合わせて、ツイン(双子)シティーズと呼ぶ。セントポールが政治、ミネアポリスが経済、その間に、ミネソタ大学がある。州の1位と2位なので、全部合わせると、かなりの大きさだ。

街のあちこちに、バイクシェアリングがある。



小学生の時に、アメフトが流行った時期がある。皆、アメフト下敷を持っていた。そして、その情報を暗記して、競ったものだ。この時に、アメリカの州と都市の名前を覚えた。ミネソタバイキングズ、海も無いのにバイキングとは、納得がいかなかったが、その謎は、封印されたままだった。そして、今ようやく、謎が説けた。スカンジナビア移民が多く、その文化が色こく残っているからだ。それと、野球はミネソタツインズ。この由来も、明らかになった。

走行距離:167.90キロ 通算:11953キロ
宿泊地:ミネアポリス、ミネソタ州

偉大なミシシッピ

今日は、良い天気だ。しかし、坂道と向い風は、相変わらず。それと、連続する農地も、昨日と同じだ。



山間の畑を見ると、日本の風景を思い出す。南部では、あり得ない光景だ。



ニューヨークへ向かっている、ジョッシュ。



5分毎にGPSで位置を送信、スピードと心拍数をiPhoneで管理、ハイテク武装した、気さくな「神父様」だ。勿論、キリスト教。宿泊は、毎日、教会へ飛込みで泊めてもらうらしい。断られる事もあるとか。

ミシシッピ川沿いにある、自転車が走れる自然道を発見する。



自転車が頻繁に走っているが、鹿、ウサギ、リスがあちこちで横切って行く、まさしく、自然の道だ。



川の向こうは、ミネソタ州。この辺りは、ミシシッピ川のほぼ源流に近い所。南部で、ミシシッピ州を通過したが、あそこが、最下流。アメリカ最大の川、ミシシッピの、上流と下流を制覇した事になる。

今日の宿泊は、やはり、ミシシッピ川沿い。



綺麗な景色を見ながら、芝生に備えてあるソファーで、ビールを飲みながら、ゆっくり。涼しい風が吹いて、最高の気分だ。枝豆でもあれば良いのだが、おつまみは、ピザ。

走行距離:143.67キロ 通算:11785キロ
宿泊地:アルマ、ウィスコンシン州

サンダーストームの夜

夜中に、突然のサンダーストームがやってくる。隅田川の花火大会の如く、間髪入れずに光り続ける。1時間位、空が明るい状態となる。テントの中からでも、空が光っているのが分かる。雷と雨の音がうるさくて、眠れない。同時に、テントの耐水性の良さに、関心。それでも、いつの間にか、寝てしまった。

雨は、朝まで降り続き、止むのを待っていたら、9時を過ぎてしまった。



長らく、坂と無縁であったが、今日は、とうとう坂道の連続となる。しかも、向い風が強く、二重苦である。



途中、ほぼ農地であった。そして、時々、小さな街が訪れる。この辺りは、ほぼ白人だけであるが、街によって顔付が微妙に異なる。移民の出身地が異なり、いまだに、同じ出身の人ばかりが住んでいるからだ。

今日の宿泊地は、何の変哲もない街だが、スカンジナビアの文字ばかりが目立つ。



この街の殆どの人が、ノルーウェイ系移民らしい。そして、街の名前も、ノルーウェイの人の名前である。



走行距離:106.74キロ 通算:11641キロ
宿泊地:ウエストバイ、ウゥスコンシン州

文化度の高い街

今日は、良い天気である。暑すぎず、気持ち良いサイクリングが出来る。

まず、レイクミルズという街に着く。中央に湖がある、ドイツ風の色使いが綺麗な、小さな街である。



今週末は、フェスティバルがあるらしく、映画「ビッグ」に出て来る様な、移動式の遊園地が設置されている。



ウィスコンシン州の州都、州内2位の都市、マディソンに到着する。



2つの湖に挟まれた、狭い地形にある都市である。街並みは古いが、その中に、凄い革新性を感じる。



この規模の都市で、治安が悪い所が全く無いというのは、驚くべき事である。



それと、夥しい数の自転車に、驚かされる。自動車を捨てて、完全なエコを目指しているようである。



フィットネスとしての自転車だけでなく、買い物や移動、全てに自転車を使っている。



アメリカは広いもので、南部の貧困地帯では、自転車は、自動車が買えない人の乗り物。こういう場所では、自転車は、道路を走る権利が無い様な扱いを受ける。そして、文化度が高くなると、逆に、自動車から自転車へとシフトしていく。自ずと、自転車が最優先となる。自動車は、前世代の乗り物である。そういう意味では、ここは、アメリカで断トツに分化度が高い街である。



アメリカの中の北欧、とでも言おうか。それ位、洗練されている。

マディソンを去り、暫らくすると、また農地となる。



それでも、時折現れる、歴史のある街並み。



今日の夜は、久しぶりに、隣の家族にご馳走になった。66歳の叔父さんと、政治経済ネタで盛り上がる。



アメリカの将来を、しきりに心配していた。日本よりは、安心だと思う。

今日は、ハンドルのバーエンドが折れてしまった。



バーエンドなので、無くても支障は無いが、今まで握っていた所が無くなると、少し、違和感がある。次の機会に、新しくしよう。これも、寿命だったのだろうか。

走行距離:127.06キロ 通算:11535キロ
宿泊地:スプリンググリーン、ウィスコンシン州

ビールの街

ビールの街、ミルウォーキーに到着。ウィスコンシン州最大の都市。



ミシガン湖沿いにあり、そこに流れ込む川が、運河のように入り組んでいる。



シカゴとは、全く違う雰囲気で、古さの中に新しさが点在し、洗練されたイメージがある。かつては、アメリカ最大の都市であった痕跡が、残っている。

銀座のような、デパート群。



一角には、いかにもパブが似合いそうな、古い通りが残っている。



ドイツ系移民が多いので、ビールの生産が発達したらしい。

街を離れ、郊外へ行くが、自然の中に住宅がある様な所が、延々と続く。



すぐ隣にある、リゾート風の湖。



そして、さらに進んで行くと、農地となっていく。



向い風が強い一日であった。

走行距離:98.44キロ 通算:11408キロ
宿泊地:ジョンソンクリーク、ウィスコンシン州

ミシガン湖を北上

今日は、昨日と一転、青空が広がる良い天気となる。ミシガン湖を北上し、ミルウォーキーへと進む。

シカゴ郊外となる街を、幾つか通る。ここは、エバンストン。学生の街でもあるが、整然とした、爽やかな景色が広がる。



次は、ケニルウォースという街。シカゴ行きの電車の駅である。電車の駅は治安が悪い、という常識が、覆された。清潔で、整然として、それでいて歴史を感じる。



駅前の商店街も、小戯れた雰囲気。



これも、電車の駅前の景色である。ドイツの様な景色が、印象的である。



サンフランシスコから見ると、ニューヨークとシカゴは「東」と、同一視してしまいがちだが、実は、全く違う街である事が、良く分かった。地理的にも、EasternとCentralである。

この後、自転車道を走る。



この道は、景色の良い所を永遠に走り、実に快適である。平日というのに、多くのサイクリストに出会う。

程なく、ウィスコンシン州に入る。ケノーシャという、湖畔の街に出る。



ここまで来ると、泳ぐというより、眺るという雰囲気である。

最近、自転車のチェーンが滑る事が多い。特に、加速時に起こる。交差点内で、これが起こり、チェーンが外れてしまったので、そろそろメンテナンスしようかと思っていた。今日は、何となく気分がゆっくりなので、バイクショップに立ち寄る。

チェーンを短くするか、交換すれば解決すると思っていた。メカニックに見てもらうと、とんでもない事が分かった。ギアを新品の物と見比べると、歯が削れて、全く違う形になっていた。チェーンが滑るのは、これが大きな原因である。



一万キロの結果かと思うと、感無量である。しかし、これはまずい。後ろも、歯が削れかけて、良くない状態である。これから、ロッキー山脈を超える事を思うと、あまりに頼りない。前後のギアとチェーン、全て交換する事にした。



結果、足からタイヤまでがぴたりと繋がった様に、小気味良く走るようになった。もう少し早く、交換しておけば良かったかも知れない。

今日は、全体的に、ゆっくり。シカゴで入手した、自転車の雑誌を見ながら、ビールを飲んで、くつろぐ。

走行距離:126.01キロ 通算:11309キロ
宿泊地:サウスミルウォーキー、ウィスコンシン州