同志にあう

朝からゆっくりと吹く温かい風は、実に爽快だ。湿気は全く無い。洗った髪は、一瞬で乾いてしまった。もう少しゆっくりしたかったが、涼しいうちに距離をのばそうと、出発する。



反対車線から、自転車に乗った旅行者が走ってくる。いつもなら、遠くから挨拶するだけだが、殆ど車が通らない道なので、すぐにやって来てくれた。サウスカロライナから来たジェフである。情報交換やら、激励やら、すぐに打ち解けた。



少し前に、ドイツ人の旅行者が走っているらしい。急いで追い掛けてみたが、残念ながら追い付く事はなかった。

アギーラという街。メキシコ系住民だけの、気だるい雰囲気の街だ。この先には、峠が待っている。昨日程ではないが、日差しと乾燥は激しい。慎重に、水と食料を調達しておく。



ところで、こう乾燥していると、薄い珈琲をガブ飲みするのが美味しい。濃い珈琲など、飲めたものでない。いわゆる、アメリカン珈琲である。因みに、アメリカには、アメリカン珈琲はない。レギュラーかフレンチロースト(濃い)である。そして、フランスには、フレンチロースト珈琲は無い。

偶然だが、この地を4月に通過するのは最高の季節だったらしい。真夏だと、それこそ危険な行為となっていた。

今日は、初めてパンクした。恥ずかしい話だが、自転車を買ってすぐに出発したので、パンク修理の経験は無い。幸い、明るい時で、作業場所も確保でき、ガラス片が綺麗に刺さっていたので、直ぐに修理する事が出来た。旅の達人に、一歩近付けた気がする。

フェニックスまであと一歩という所で、余裕を持って宿泊。都市に近付いた匂いがする。

走行距離:104.00キロ 通算:1761キロ
宿泊地:ウィッケンバーグ、アリゾナ州