フェニックスは遠かった

今日も、早朝から出掛ける事にした。サボテンの姿は相変わらずだが、土地は緑を蓄え、心なしか湿度があり、風が優しく感じられる。フェニックスが近付いた証拠だ。



予定では、程なくフェニックスに到着するはずだった。

快調に走っていると、突然パチッという大きな音がした。降りて見てみると、リアホイールのスポークが折れていた。同時に、ホイールが曲がり、ブレーキが取れかかっている。

街までは、そう遠くはない。応急処置をして、バイクショップで直してもらおう。ブレーキを取り去り、ホイールが、フラフラしながらも、かろうじて回転するようには出来た。ゆっくりと、慎重に走る。

暫くすると、タイヤがパンクしてしまった。しかも、前後同時にである。こんな事もあるものかと、ぼう然とするが、起きてしまった事はしようがない。昨日と同じ要領で修理する。しかし、どうしても空気が抜けていく。じっくり調べて見ると、なんと、フロントが3ヶ所、リアが2ヶ所、同時に穴が空いている。修理は諦めて、用意しておいたスペアチューブに取り替えた。作業がほぼ終わりかけた時、初老のロードバイクに乗った人が声を掛けてくれた。「手伝う事はあるかい?」「この辺は、いつも植物のトゲでパンクするよ」なるほど、その通りだった。立ち話をした後、5回パンクするより、1回で全て終った事がラッキーだった、と思う事にした。

見上げると、そこには「カクタス(サボテン)通り」という看板があった。そういう落ちだったのか。



不幸中の幸いと言うか、そのカクタス通り沿いに、Bike Denというショップを見つけた。



マイクという店員が、全ての修理を終わらせるのに、30分も掛からなかった。



同時に、スペアチューブも注文する。「この辺は、これがいいよ」と手渡されたのは、極太の特別なチューブであった。

今日は、フェニックスの隣町で玉砕される。かなり暑いが、夏はこんなものでは無いらしい。明日こそ、フェニックス。

走行距離:89.30キロ 通算:1851キロ
宿泊地:グレンデール、アリゾナ州